広島の企業インタビューアイデアを出し合って ミカサの新時代を創りたい
広島県の地元企業インタビュー
アイデアを出し合って ミカサの新時代を創りたい
株式会社ミカサ
代表取締役社長 佐伯 祐二
"MIKASA"のロゴマークが入った競技ボールで知られる株式会社ミカサ。スポーツ用品メーカーのイメージが強いが、創業以来の実績と技術力を武器に、工業用品の開発・製造に力を入れてきたことは興味深い。2014年12月に新社長・佐伯祐二氏が就任し、次代を見据えて、スポーツ用品と工業用品の両輪をグローバルに展開していこうとしている。
ミカサ様の事業内容をお聞かせください。
スポーツ用品部門と、ヒット商品が支える工業用品部門。
当社の事業には2つの柱があります。一つはバレーボール、バスケットボールなどの各種競技ボールとスポーツグッズを製造販売するスポーツ用品部門。ボールの製造工場はタイとカンボジアにあり、国内の営業所のほか、海外営業部には約10名のスタッフがいます。
もう一つが、ゴムを活かした工業用品の部門で、船舶用の水中軸受けや、発電所、排水施設、プラントなどで使用するポンプ用製品を製造しています。地道にやってきた甲斐あって、ゴムとテフロンの合わせ技で摩擦を抑える軸受がヒットし、船舶などに使っていただいています。こちらが堅調に伸びていて、売上げはボールが約3分の2ですが、利益率としては工業用品の方が上です。製造工場は広島のみですが、世界を視野に入れていて、アメリカにボールと共通の販売会社があります。
現在、展開されていることは何ですか?
スポーツ用品市場の新規開拓と、工業用品のさらなる海外展開。
スポーツ関連で今から伸びしろがあるのはボール以外のスポーツ用品だと思っています。特にミカサの製品は学校やクラブからの購入が主で、スポーツを楽しむ個人のための商品が少なく、知名度はあっても売上げにつながっていないのです。そこで今後は、一般消費者向けの商品を新しいアイデアで開発し、得意なジャンルを持つ他のスポーツ用品メーカーのように、ミカサの商品をもっと積極的にアピールしていくべきだと感じています。
工業用品については海外市場に向けた販売を充実させたいのですが、現在の海外担当スタッフに続く人材がなかなか見つからないのが現状です。ある程度語学ができて、図面が読めるなど機械に関する素養があり、海外出張も苦にしない人材を求めています。
<右上・写真>バレーボール漫画「ハイキュー!!」を掲載する『週刊少年ジャンプ』とコラボして製作したキーホルダー。社員の発案がヒット企画につながった。
今後の展望についてお聞かせください。
歴史を大切にしつつ、時代の流れをとらえて変わっていく。
私は大学卒業後、大阪のボルトメーカーで14年間勤務させてもらい、そこで学んだ、「地道に作って売る商売」のノウハウが今の仕事にとても役立っています。当社も大正6年にゴム製品のメーカーとして創業して以来、職人気質でよい物をこつこつと作り続けてきました。そういった先人達の技術や資本の蓄積があるからこそ、新たな展開にも挑戦できます。しかし、こうした従来のスタイルは大事にしなければいけないけれど、プラスαも考えていかないと、これからの時代は大変だと思うのです。
特にスポーツ用品については「こんなこと、やってみたいんですけど。」と、意見をどんどん出してほしい。今いる社員の中からも積極的に提案してほしいし、次に広がるアイデアを持っている人の入社は、もちろんウエルカムです。でも、アイデアを出す専門部署を作るというより、みんなでわいわい言いながら知恵を出し合う。「とにかくみんなで考えようや。」という方向ですね。
人材についての考えをお聞かせください。
社員一人ひとりを知って、共に働く仲間を育てる。
中途採用の場合は即戦力ということで専門性に期待しますが、やはり明るくて前向きな人がいいですね。面接で話が弾む人、楽しい人がいい。また、社員一人ひとりの考えや能力、人となりを十分把握したうえでないと本当の人材育成や人事はできないと思うのです。面白い人材を採用したいし、今いる社員の中からも発掘したいです。結局、組織がうまくいくか、いかないかは「人」だと思います。だから、社長に就任する前から、仙台、東京、大阪、福岡の各営業所もまわって、社員全員と面接しました。社員が互いに情報を出し合い、組織として当たり前により良い仕事をしていきたい。そのための改善点も見つかったし、社員との面接は定期的にやっていきたいと思っています。
求職者の方にメッセージをお願いいたします。
ポリシーがあって自分を客観的に見る目を持っていれば、転職も考えていいと思います。どこに行っても自分の居場所は自分で作らないといけない。自分がこの会社を変えてやる、ぐらいの気概を持つことは大切なのではないでしょうか。会社が自分に何を求めているかが感じ取れて動ける人はいいですね。もっと言うと、嫌なことができる人。問題があるならそこに切り込んでいける人。見て見ぬふりをする人は、中途採用ではうまくいかないと思いますね。組織の足りない部分を考えて具体的に動ける人は、転職しても成功すると思いますよ。 今ミカサは変革期を迎えています。そこに関われるというのは、仕事として楽しいのではないでしょうか。今までの歴史と実績を継承しつつ、私達と一緒にミカサの新しい柱を創ってほしいと考えています。
株式会社ミカサ
代表取締役社長 佐伯 祐二
1970年 現会長・佐伯武俊氏の次男として、広島市に生まれる 1994年 関西学院大学社会学部卒業 日本鋲螺株式会社の常務を経て、2013年 株式会社ミカサに入社 2014年12月代表取締役社長就任