コネでつなぐ!スペシャリスト【岡山編】
色々な分野で活躍中のスペシャリストを紹介するシリーズ企画。コネ転スタッフが取材し、仕事への想いなどを教えていただきます!
さらに、その人のコネ(人脈)で、次のスペシャリストを紹介していただき、リレー方式でつないでいきます。
第三回目に登場するのは、「キノシタショウテン」の木下さんよりバトンを受け取った、「ル・パン・ドゥ・タカ」のオーナー常藤
(つねとう)さんです。
噛むほどに小麦の風味が広がるハード系パン、サクサクの生地とバターがたっぷりと効いたクロワッサンのほか、
調理パンや焼き菓子など、約70種類の多彩なパンが並ぶ「ル・パン・ドゥ・タカ」。
おいしいパンを求めて、連日多くのお客さんが訪れています。
父の背中を追ってパン職人の道へ
そんな「ル・パン・ドゥ・タカ」のオーナーの常藤さんは、フランスでも修行した若きパン職人。
その道を目指したのは、もともとパン職人だったお父さんの影響を受けてからという。
「高校3年生の時に、父から初めて“自分の人生についてまじめに考えろ”と言われたんです。これから生きる道をしっかり見据えて、地に足をつけてやっていきなさい”と言われたのがきっかけで、“ほんとは何がしたいのかな”って考えたんです。
それで考えて考えて、“あっそういえば子どもの頃、お父さんみたいにパン屋になりたい”って言ってたなって思い出したんです。それと、その言葉を言ってくれた時の父が、ものすごく大きく感じたんですよ。だから、この人と同じ道に入ってみようと思ったんです。」
その後、大手パンメーカーや個人の店を経験し、フランス修行へと旅立つ。
「30歳で独立しようと決めていました。だから、独立するためには、それまでに何が必要なのかを考えたんです。
そこで、やはりパンの本場に行ってみたいと思ったんですね。フランスでは、どのようにパンが作られて、どう消費されていくのか、彼らの文化を見てみたくなったんです。」
店のコンセプトは、「食卓にパンを」
帰国後、30歳で店をオープンさせた常藤さん。経営目標として掲げたのは、「食卓にパンを届けたい」という熱い想いでした。フランスでパンの文化に直に触れたからこそ、「パンを日常的に味わってほしい」という気持ちが強くなりました。
「これから店を続けいくために、自分は一人の職人として何がしたいのかって本気で考えたんです。その時に、“パンの文化をみんなにもっと知ってほしい”って思ったんです。“食卓でパンを囲む”っていうシーンをみんなに作ってもらいたいなって。それが、年に2回でもいいし、3回でもいい。その数が少しずつ増えていってもらえたらなって。それがパン職人として一生かけてやっていきたいことだと思ったんです。」
生地と対話しながら微調整を繰り返す
常藤さんが仕事で一番気をつけていること、それは生地をよく見ることだという。気温や湿度で生地のコンディションが変わってしまうため、その日の状況を敏感に感じ取るようにしているそう。だからこそ、天気予報のチェックは欠かさないし、気温や乾燥の具合も日々肌で感じるようにしているという。
「それから、気をつけているのは、仕事を“作業” にしないこと。どんな仕事でも毎日やっていると単なる作業になっちゃうんですよね。でも、僕は作業として仕事はしたくない。フランスで学んだベースの工程はきちんと守りながら、季節によって粉の分量を変えたり、粉の状況に合わせてブレンドする量も調整しています。
その配合具合で求めている味にバッチリ決まると楽しい! バケットやクロワッサンはもう30 回以上作り方を変えていますし、自分の思い描いた通りに出来上がった時が本当に嬉しいんですよね。
昔から探究心、好奇心が旺盛なので、今の仕事は性格上合っているんでしょうね。」
毎日同じ味を提供し続ける、職人としての責任
「毎日同じものを同じように作れるのは、“技術”だと思います。昨日食べておいしかったけど、今日食べてみたら最悪だったっていうのは決してあってはならないこと。看板を掲げて店を構えて、商品を消費者の方に届ける以上は、同じクオリティーの商品を提供し続けないといけない。
毎日自分の納得のいくパンを製造してお客様に届けるっていうのが、僕からお客様に提供できる価値だと思うので。
そして、お客様がおいしかったって満足していただけるのがお客様が僕に提供してくださる価値だと思っています。
そのやりとりでしかないんですよね。日々、図に乗らないように真摯に仕事をしていかなきゃいけないですね。」
パン職人という仕事に対しての誇り
「プライドを持って仕事ができるなら、その仕事は自分の人生を華やかにしてくれるものだと思うんですよ。自分の人生をどう生きていくかって考えた時に、“仕事” というのは、僕の中ですごく重要なこと。パンを作ってお客様に届けるというこの仕事が、僕は本当に好きなんだと思いますよ。」
終始、活き活きとした表情で取材に応じてくれた常藤さん。
「パン作りが好き」という強いパワーがあるからこそ、まじめに取り組み、自分の仕事に誇りを持つことができるのだと思います。
そんな常藤さんの作るパンだからこそ、たくさんのファンから愛されているのです。
今回、コネ転スタッフが取材を行ったのは、
ル・パン・ドゥ・タカ
住/岡山市北区西古松1-37-16
☎/086-250-7337
営/7:00~18:00
定休日/水・木曜日