【情熱バイブル】医療分野を支えるマルチな職人
仕事に情熱を傾け、日本の「ものづくり」を支える職人たち。
彼らのアツいモチベーションはどこから溢れ出てくるのだろうか。仕事に対する熱意、将来の夢などから、職人たちの情熱に迫ります。
とんでもなく高精度な球体を作る会社があると聞きつけコネ転スタッフがやってきたのは、自動車部品メーカーの「ハマダ」。
こちらの企業は、なんと1/1000mm という、半端ではない単位の高精度加工ができる技術を持っているとのこと。
さらに、その技術力の高さが評判となり、メディアで取り上げられるほど注目度大の企業です。
1953 年の設立以降、エンジンやブレーキ、車軸など、自動車部品の加工を中心に事業を展開してきた「ハマダ」は、現在得意とする球面加工技術を活かして、人工股関節用部品や医療器具の製造にもチャレンジをしています。
そんな医療分野の目玉となるのが、手術で使用する「縫合器(ほうごうき)」。
縫合器とは、手術部位を針と糸で縫い合わす医療機器で、「ハマダ」が培ってきた、ものづくり技術が発揮されています。
今回お話を伺ったのは、開発部開発課の「吉本賢人(よしもとけんと)」さん。
縫合器の開発から加工まで行う、マルチな職人。普段は柔らかい雰囲気の吉本さんも、いざ仕事となると真剣な表情に変わります。
- 吉本さんの仕事内容を教えてください。
「縫合器の設計から加工まで全部を担当しています。お客さんからの依頼を受け、それを実際にCAD で図面を作成し、ワイヤー加工を行ったりしています。」
- 設計だけではなくて加工も担当するのはなぜですか?
「部署としては設計担当ではあるんですが、以前、図面を作成して実際にカタチにするっていう時に、” この図面じゃできない” と現場の人に言われたことがあったんです。加工の技術もきちんと身に付けておかないと設計もできないと思って。」
- どんな製品を作っているのですか?
「僕が最初に作ったのが、スターターラスプという器具。人工股関節手術に使われているものです。」
- ものづくりの仕事についたきっかけは何ですか?
「大学の時は理学部だったんですが、実験を行うときに実験器具を自分で作っていたんです。だんだん実験よりも器具を作る方がおもしろいと思うようになったからですね。」
- 仕事でのやりがいを教えてください。
「お医者さんの手に渡るまでは、完成したものが良いものなのか悪いものなのか判断が難しくて。
医療機器の場合は、見た目や使用感を重視されるので、実際に使ってみないと分からないんです。お医者さんに使ってもらった後に、” よかったよ” と言われたときが一番嬉しいですね。」
- 他の人には負けないという強みはありますか?
「僕は小心者なところがあって、旅行に行く時でも何か忘れ物があるんじゃないかと心配になって何度も確認をしてしまうんです。だからこそ、仕事においてもミスのないよう、一度チェックしたとしても、何度も注意深く確認しますね。加工に入る前の段取りもそうですし、出来上がったときも寸法をはかってきちんとできているかチェックします。心配性なので、自分が納得するまでやりますね。」
- 仲間から刺激を受けることはありますか?
「困ったときは先輩、いわゆる加工のスペシャリストに聞くと、こうした方がいいよとかアドバイスをもらったりして、自分では思いつかなかった方法を教えてもらうことがあります。」
- 今後の目標はありますか?
「お医者さんから、” こういうのがあったらいいな” っていう、まだ具体的な形のないゼロの状態からの要望にきちんと応えられるような製品を考えて提案していきたいです。」
開発から加工までこなし、納得いくまでこだわり続ける吉本さん。これからますます需要が伸びるであろう医療機器の分野で、吉本さんのものづくり技術がさらに発揮されていくはずです。日本の医療分野を支える、頼もしい存在です。
今回取材を行った企業は、
株式会社 ハマダ
住/広島県安芸郡府中町茂陰1-9-41
☎/ 082-281-6341
HP / http://www.kk-hamada.co.jp